こんにちは。アソビューでQAエンジニアを担当しております、石川和尚です!
今回は、QA一筋だった私が、専門領域の壁を越えて開発に挑戦したリアルな経験談をお話しします。
挑戦を宣言した時の周囲の温かい反応、ぶつかった壁とそれを乗り越える楽しさ、そしてその経験が本業のQA活動にどう活かされたのかまでを伝えられたらと思います!
この記事は、こんな想いを持つエンジニアの皆さんにぜひ読んでいただきたいです!
- 今の領域から一歩踏み出し、キャリアの可能性を広げたい!
- 特に、開発領域への挑戦に関心のあるQAエンジニアの方
- 「越境」を応援するアソビューのカルチャーに興味がある方
この記事を通してアソビューのEngineering Principlesの一つである「自ら越境せよ」が、単なるスローガンではなく、いかにカルチャーとして深く根付いているかを感じていただけたら嬉しいです。
なぜ「越境」しようと思ったのか
これまでのキャリアとQAとしての想い
私はこれまでQAエンジニアとして、プロダクトの品質を守ることに情熱を注いできました。仕様やユースケースを深く理解し、ユーザーが快適にサービスを利用できる姿を想像しながらテストの設計、実施を行う。この仕事に大きなやりがいを感じており、アソビューでもQAとしてユーザー体験の向上に貢献することに全力を尽くしてきました。
挑戦への動機
しかし、QAとして業務に深く関わる中で「品質を守る」だけでなく、「自ら創り出す」ことでより高い次元の品質を追求できるのではないかと強く感じるようになりました。
そんな想いが芽生え始めた頃、私の背中を押したのは、アソビューのEngineering Principlesの一つである「自ら越境せよ」という言葉でした。
「自分の領域に閉じこもらず、積極的に境界線を越えていこう」というこのメッセージが、私の挑戦したいという気持ちを強く後押ししてくれたのです。
「開発、やってみたいです」
宣言した時の心境とチームのリアルな反応
とはいえ、開発の実務経験がない私が「開発に挑戦したい」と伝えることには、期待と同じくらいの不安がありました。「迷惑だと思われないだろうか」「本当に自分にできるのだろうか」。そんな不安を抱えながら、まずはマネージャーに相談しました。
すると、マネージャーから返ってきた言葉は、
「宣言なんて不要。やってみればいいし、どんどん越境して行ってほしい」
というものでした。
「会社にとって迷惑なのでは…」という不安を抱えていただけに、そのあまりにもポジティブな反応に、正直とても驚きました。
さらに、ただ「やっていいよ」と言うだけでなく、「どうすれば実現できるか」を真剣に考え、具体的な道筋を一緒に描いてくれたことが、私の挑戦を力強く後押ししてくれました。これこそが、私がアソビューで感じた「アソビューらしさ」そのものでした。
開発挑戦のリアル:ぶつかった壁と見つけた楽しみ
もちろん、挑戦の道は平坦ではありませんでした。開発実務未経験だからこそ、たくさんの壁にぶつかりました。
苦労したこと(と、その乗り越え方)
開発環境構築の難しさ: まず最初の関門でした。手順書を読んでも、知らない単語ばかり。一つエラーを解消したらまた次のエラーという状況に心が折れそうになりましたが、Slackでヘルプを投げかけるとチームみんなが忙しいにもかかわらず、積極的に声をかけてくれたことで乗り越えることができました。また、timesチャンネル(チームメンバーが業務に直接関係ないことも含め自由に投稿できるチャンネル)などで進捗を共有すると、みんながリアクションをくれることもモチベーションになっていました。
技術用語のキャッチアップ: 質問に対する回答やちょっとしたアドバイスなどが、まるで外国語のように感じられることもありましたが、その都度質問したり自分で調べたりを繰り返し、少しずつ知識を吸収していきました。また、LLMに実装例を出してもらい、実際の業務でどのようなコードを書けば良いかなどを確かめることで知識を深めていきました。
既存実装の複雑さ: 今まで独学でプログラミングを学習したことはありましたが、いざ実務レベルの実装を見た時、教科書で見たコードと比較して量も他コードとの繋がりも多く、複雑さに衝撃を受けました。教科書で見るようなコードは、1つの機能が1ファイルで完結していることが多いですが、実務レベルのコードは膨大な数のファイルが複雑に連携し合っていて1つの機能がどこからどこまで影響しているのかわからず、全体像を掴むのにとても苦労しました。また、「自分の修正が、予期せぬ不具合を生んでしまうのではないか」という恐怖心が常にありました。しかし、修正した内容をローカル環境で入念に確認し、影響範囲を想定しながら慎重に作業を進める。まさにQAで培った「品質へのこだわり」や「リスクを想像する力」が活きた瞬間で、「QAをやっていてよかった」と思いました。
楽しかったこと・やりがいを感じた瞬間
初めて自分の書いたコードが動いた時の感動: 私にとっての大きな一歩は、「販売実績を表示する一覧画面に『申込日時』の検索条件を追加する」という実装でした。ただの表示修正ではなく、データベースとの連携にも関わる機能です。試行錯誤の末、ローカル環境で初めて絞り込みが成功し、求めていたデータが表示された瞬間は、思わず「おっ!」と声が出ました。すぐにSlackのtimesチャンネルで報告すると、メンバーからたくさんのスタンプが飛んできてとても嬉しかったです。

システムの動きが「点」から「線」へ: これまで言葉としてしか知らなかった「ブランチ」「CI/CD」「API」といった概念が、自分の手で触れることで、次々と意味を持ち始めました。特に、自分の書いたコードがステージング環境に反映され、マージされていく一連の流れ。そして「ユーザーが検索ボタンを押すと、このAPIが呼ばれて、DBのこのテーブルからこうやってデータを取得してくるのか!」という裏側の連携が、頭の中でカチッと繋がった瞬間がありました。バラバラだった知識が一本の線になったような、強烈な納得感を得られた体験でした。
QAに活かせる発見: 開発を学べば学ぶほど、QAとしての自分の武器が増えていく感覚がありました。特に強く可能性を感じたのはSQLです。「SQLさえ使えれば、テストデータの準備やDBの状態確認が格段に速くなる。QA活動の幅とスピードが劇的に変わる」という発見は、やがて確信に変わっていきました。
開発への越境がQA領域にもたらした嬉しい変化
開発領域に足を踏み入れたことで、私の本業であるQAエンジニアとしてのスキルも大きく向上しました。
コードベースでの仕様把握によるテスト設計の解像度向上: これまではブラックボックスに近かったアプリケーションの内部構造が、コードを読むことで少しずつ見えるようになりました。例えば、パッケージ構成から「この機能に関するコードはこの辺りにありそうだな」と推測したり、ER図からデータ構造をイメージしたり。これにより、闇雲に探すのではなく、仮説を持ってコード内を調査できるようになったため、仕様のキャッチアップのスピードと精度が格段に上がりました。
SQLを活用したテスト実行の効率化: この変化が最も劇的でした。以前は、少し複雑なテストデータが必要になると、開発エンジニアとミーティングの時間を調整させてもらったり、「〇〇のデータをお願いします」とSlackで依頼し、対応が終わるまで別の作業をして待つという形でした。もし追加で確認したい点が見つかると、再度依頼することになり、「またお願いして申し訳ないな…」という気持ちを感じることも少なくありませんでした。 しかし今は、自分の手で直接SQLを叩けます。 これにより、誰にも気兼ねなく自分のタイミングで何度でもテストを実行できるようになりました。
最後に
QAエンジニアの私が開発領域へ越境したこの挑戦は多くの困難もありましたが、それ以上に大きな成長とやりがいをもたらしてくれました。
そして何よりこの挑戦ができたのは、アソビューに「自ら越境せよ」を本気で体現できる環境とそれを心から応援してくれる仲間がいたからだと思います。
私の挑戦はまだ始まったばかりです。今後の目標は、
- まずは一つの機能を、設計からリリースまで一人でやり遂げること
- ゆくゆくは、QAと開発両方の視点を活かし、品質とスピードを両立できるような開発プロセスをチームに根付かせること
です。この初心を忘れず、これからも越境を続けていきたいと思います。
この記事が、キャリアの新たな一歩を踏み出そうとしている誰かの小さな勇気に繋がれば幸いです。