プロダクトマネジメント初級者が考える、プロダクト開発チームの成長と事業の成長を両立させるには

こちらはアソビュー Advent Calendar 2025 の 12/24 (シリーズ1)の記事です。

はじめに

こんにちは、アソビュー大川です。クリスマスに年末年始と、お出かけ先はお決まりでしょうか?我々アソビューはそんな皆さんのお出かけ先や遊びのご提案ができるようにいくつものプロダクトを生み出し、日々サービスを改善し続けています。

そんな中、私のいまの役割はプロダクトマネ-ジャーです。私がプロダクトマネージャーを担うようになったのは1年ほど前から。これまで未経験のポジションであったため、日々試行錯誤しながら必要な考え方を身につけていっている最中です。 本稿ではそのようなプロダクトマネジメント初級者の私が今まさに思案中の「プロダクト開発チームの成長と事業の成長の両立のさせ方」について、世にある解決法に触れながら今後に向けた指針の整理ができればと思っております。

事業成長にはプロダクト開発チームの拡大が不可欠ですが、単なる増員は負担増や複雑性の増大を招き、成長を阻害するリスクがあります。しかし、戦略的なチーム成長は事業成長を加速させる推進力にもなり得ます。 本稿では、品質やスピードを維持・向上させつつ、チームを戦略的に成長させ、事業成長につなげるための再現性のある方法を考察します。

プロダクト開発チームの成長指標

プロダクト開発チームの成長を定める指標は定量、定性いずれも様々です。私が担当するプロダクトの今の事業フェーズとしては「1→10」の段階であり、どちらかというと事業の成長が重要視されている状況と言えます。この中でも私が所属するチームで意識しているものとしては以下のようなものが挙げられます。

  • スプリントゴールの達成度:チームでプランニングして定めたスプリントゴールが予定通り2週間のうちに達成されたかを一つの指標とします。期間中に発生するブロック要因をチームで乗り越えられたかを振り返り確認します。
  • ドメイン知識の獲得:私は前職でチケット販売システムの企画開発に従事した経験があり、他社事例やチケット業界の商習慣など一定のドメイン知識を持っています。これをチームメンバーに共有することで、より解像度の高い業界課題の理解、適切な技術選定、妥当な意思決定を促し、結果として複雑で込み入ったチケット業界特有の慣習にも適応していける高品質なプロダクト開発に繋がります。
  • チームの貢献実感と士気:量的な測定が難しいものの、社内はもちろんチケットを購入いただくお客様や券売のお取引をしてくださるクライアント様からの嬉しいフィードバックを得たらタイムリーにチームに共有することで、貢献実感が高まり、チームの士気を持続的なものにできると思います。

事業の成長指標

一方で事業の成長指標として現在短期・中期の目標として定めていることは、以下の通りです。

  • 月間取扱い商品数:我々のプロダクトで取扱うことができていて販売に繋げられている月間商品数の規模をもってプロダクトの足元の状態を測るため特に重要視しています。
  • 流通取引総額(GMV):事業の中長期の成長性を測るための先行指標として、GMVを一定伸ばせているかについても現在の事業フェーズにおいては注視しています。
  • 特定領域での市場シェア:アソビューの強みを活かして今後大きく伸ばしていきたい領域でポジションを確立し具体的なシェアが拡大できていること。

これらの指標は、事業の成長をいくつかの側面から捉えプロダクト開発の取り組みがこれらの成果にどのように貢献するかを理解するのに役立ちます。

プロダクト開発チームの規模が拡大したときの影響

プロダクトの成長には相応の投資が必要で、開発速度向上、対応範囲拡大、専門性深化を通じて事業成長に貢献します。しかし、我々のこれまでの実績から言えることは単純なメンバーの増員だけでは必ずしも期待通りの効果ばかりが得られるわけではなく、「成長痛」ともいえる新たな課題も浮き彫りにします。ここでは、我々のチームで起きた影響を具体的に考察します。

ポジティブな影響

  • プロダクト品質の向上:設計工程やテストケースの網羅性により多くの時間をかけることで、ゲスト・パートナーへ深刻な影響が出るインシデントの再発防止をより万全なものにすることができました。
  • 開発サイクルの高速化:チームを分割して複数の機能を並行開発できるため、リリース期日を求められる大きな案件の対応中にも別の小規模改善を諦めることなく「重要だが緊急ではない」タスクも迅速にデリバリーできるようになりました。
  • ロードマップの見通しが向上:複数チームでタスクをこなす恩恵として、攻めと守りのバランスを戦略的に取ることができたり、アウトプットを時系列で可視化することで事業部全体でロードマップの認識を合わせながらこの先の議論ができるようになりました。

潜在的な課題

  • カルチャーフィットの課題:新しいチームメンバーを迎え入れる過程で、アソビューやチームが大事にしている全員で守るべきバリューを、口伝で浸透させていく必要があり、これはテキストのオンボーディングメニューだけではカバーできないのでメンバー全員で意識する必要があります。
  • 品質低下リスク:コーディング規約や品質管理プロセスが型通りに運用されなくなることで、コード品質のばらつきや潜在不具合の発生懸念が予想されます。

いかがでしょうか。潜在的な課題として挙げた事例は個人的な所感ではありますが、どのようなチームにも起こりうる普遍的なものだと感じています。多様な潜在課題を回避し、ポジティブな影響のみを享受し続けるためには、チームで守るべきルールが守られているかを定期的に検証するなど一定の習熟期間が必要です。 さらに、それだけでなく事業と開発組織が両輪で進んでいけるように具体的なアプローチを取ることが有効だと考えます。

相互に成長を阻害しないためにできること

前項で挙げたようにプロダクト開発チームの成長にリソースや時間を投資することは、事業成長を促進する可能性もあれば、場合によっては一時的な停滞を招くこともあります。ここからは今後の自身のチームでも起きる可能性がある具体的なシーンを想定しながら適切なアプローチを掘り下げます。

開発チームとプロダクトの改善と事業成長とのトレードオフ

開発チームがスキルアップや内部改善に取り組むことは、長期的な開発効率を向上させますが、事業側が求めるスピードと開発の取り組みとの間にトレードオフが生じ、コンフリクトの原因となることがあります。 特に、事業の急成長を目指す現在のフェーズでは、新しい施策を市場に投入するスピードが最優先事項です。

その一方で、開発チームが持続的に成長するためには、技術負債の解消、開発プロセスの見直し、新技術の導入といった内部改善が同時に不可欠です。 私のチームでも、厳守すべきリリース期日が設定された際、ビジネスロジックの一部を敢えてハードコードで対応し、期日コミットのために一時的に技術負債を抱えるという判断をせざるを得ない事例がありました。 もちろん、このような対応はリスクを慎重に考慮した上で判断すべきですが、事業側と開発側の期待値のズレを軽視せず、双方にとって許容可能な解決策を常に模索し続けることが重要です。

「ビジネス要件」と「技術的負債の解消」の優先度

プロダクト開発では、技術的負債の解消は不可避ですが、事業成長につながりにくいため、状況に応じた優先順位付けが重要です。放置してしまうと中長期的な成長の足かせとなり、その反面で過剰なリソース割り当ては短期的な成長を阻害します。 この課題への対応策として、「大規模な納期ピーク直後」に特化した負債解消スプリントを設けるアイデアが挙がりました。ステークホルダーとの事前合意が必要ですが、今後どこかで試してみたいと思います。

トレードオフ解消のためのアプローチ

事業が求めるスピードと開発チームの効率を上げる取り組みとの間に生じるトレードオフを解消するため、以下の2つのアプローチが有効です。

  1. 事業目標と開発課題の同期 事業目標と開発課題を単一ロードマップで同期した状態で議論することで、相互理解を深めます。「事業目標達成にはこの課題解決が不可欠」といった建設的な対話を通じ、開発効率向上のためだけでなくその先の事業成長に貢献する事が真の目的だと明確に示すことができます。

  2. 技術負債解消が必要である理由の明確化 負債を温存することで引き起こされる業務運用への悪影響を具体的に示して、一見事業成長に直結しない投資の必要性について事業部全体で認識を合わせるとともに、業務運用改善も含めた全体最適を意識した議論ができるように心がけます。

相互の成長をさらに促進させるためにできること

組織構造

プロダクトマネージャー、スクラムマスター、エンジニアが協力して共通の目標を目指すのは至極当然のことではありますが、本稿では事業の成長にも焦点を当てています。よってそれだけでは片手落ちで、事業責任者やセールス、マーケ、オペレーション、CS、経理も含むバリューチェーンを構成する全ての人々をステークホルダーと見做してチーム内外で協力を促しコミュニケーションが豊かな組織状態を保つことが理想です。

アソビューではそれぞれの個性を尊重して仲間と助けあう「One Team」というバリューがあります。開発チーム内のメンバーだけでは解決困難な顧客課題に向き合う際に、各セクションの専門領域の知見が集まり協力しながら課題解決に向かっていくときにこのバリューが発揮されている事を実感できます。

企業文化

前項の通りプロダクト開発チームと各機能部門との間でのコラボレーション、オープンなコミュニケーションを容易にしているのは、その企業に根差す文化だと考えます。またその会話に、顧客が中心に据えられているべきという価値基準があるとブレない意思決定がスムーズにおこなえます。

アソビューには顧客の願いを叶える「For You」というバリューがあります。これは社内で日常的に見聞きすることができる頻出バリューであり、顧客からの期待にコミットメントする強さを示すもので、まさにアソビューの強さの源泉だと思います。

ツールとAIテクノロジー

効率的な業務遂行と円滑な情報共有のためには最新のテクノロジー活用が欠かせません。進捗状況の追跡とタスク管理のため、プロジェクト管理ツール(アソビューではJira)を活用します。また社内外とのシームレスなコミュニケーションと情報共有のために、コラボレーションツール(アソビューではGoogle WorkspaceとSlack)をフル活用しています。

さらに、開発支援AIツール(アソビューでは、GitHub Copilot、Cursor、Claude Code、Devinなどなど絶賛活用中)を活用して、より早く多くのアウトカムを出せるようにするというトレンドが、開発チームのみならず事業の両方の成長を促進すると期待されており、社内でホットトピックになっています。

アソビューでは成果にこだわってできる方法を考え抜く「Professional」というバリューがあります。

若干強引に我々のバリューに引き付けてしまったかもしれませんが、かいつまんでご紹介した我々のバリューについてご興味ありましたら、こちらも是非ご一読ください! www.asoview.co.jp

結論

プロダクト開発チームの成長と事業の成長は、短期的にはトレードオフの関係に見えることがありますが、以下のポイントを踏まえて適切なバランスと戦略を持つことで両立しながら相互に強化し合うことが可能であると整理できました。

✔ 事業目標と開発目標(ロードマップ)を同期させギャップを埋める

✔ 開発リソースの差配を事前に開示してステークホルダーと合意する

✔ 技術的負債をマネジメントしながら、その必要性について理解を促す

ただしそのために強く意識すべきことはステークホルダーとの継続的な対話と、それを通じた双方向のアイデア出しをするようにチームの外を巻き込むことだと言えます。またそのようなコミュニケーションをしやすくする企業文化やコラボレーションツールの活用もその一助になります。 以上を踏まえて事業と開発の両方をバランスよく成長させることで、持続可能なプロダクト開発と市場競争力の向上を実現できるようこれから邁進していきたいと思います!

アソビューでは、我々のミッション「生きるに、遊びを。」の実現によって社会のあたりまえを変えていこうとしています。それを実現するための良いプロダクトを世の中に届けられるよう共に挑戦していく様々なエンジニアを募集しています。

カジュアル面談のご希望も随時お受けしておりますので、お気軽にエントリーください!お待ちしております。

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