
- 1. 理想:「背中で見せるリーダー」でありたかった
- 2. 現実:何もできない自分への「後ろめたさ」
- 3. 転機:自分の中の「理想」を捨てた瞬間
- 4. 発見:弱さをさらけ出したからこそ見えた、チームの強さ
- 5. 結び:支えてくれるチームへの感謝
はじめまして、アソビューでシステムエンジニアをしている金子です。 現在は、スクラムマスターとしてチームを支えるために、日々奮闘しております。
本記事では、私がスクラムマスターとして振舞う以前、チームの「リーダー」として奔走していた頃の話をします。アソビューにリーダーという職位はありませんが、当時はプロジェクト管理やチーム改善を主導することをしており、当時の実態に即して「リーダー」と呼ばせていただきます。
かつての私は、技術と知識でチームを牽引する「背中で見せるリーダー」を目指していました。しかし、アソビューでスクラムマスターを引き継ぎ、多忙な業務の中で自分の理想とはかけ離れた「何もできないリーダー」であることに焦りを感じました。そんな私が「弱さを見せる」ことで、チームに予期せぬ変化が起こりました。本記事では、理想のリーダー像を捨て、チームの力を信じることができた転換点と、そこで見えたチームの本当の強さについて綴ります。
1. 理想:「背中で見せるリーダー」でありたかった
まずは前提として、私がどうしてリーダーとなったのか、リーダーとはどうあるべきと考えているかについて記します。
私は前職でもチームリーダーを務めていました。リーダーとして一定のドメイン知識を持ち、技術的な壁にぶつかっているメンバーがいれば、自ら手を動かして解決策を示す。そんな風に「技術と知識の両面を提供すること」によってチームを牽引するのが、私の理想とするリーダー像でした。
その後、より多くの幸福を叶えたいという思いからアソビューに転職しました。入社して4、5ヶ月が経った頃、転機が訪れます。チームを率いていた前任のリーダーが退職することになったのです。
当時のチーム構成は、社員がリーダーと私の二人だけでした。他の方々は業務委託という布陣です。上長からリーダーになることを打診されたとき、状況的に考えて、必然的に私にお鉢が回って来たのだと思いました。その時は、「何もわかっていない自分が引き受けていいのだろうか...」という不安が襲ってきたのを覚えています。 それでも、状況を鑑みて「お話を頂いた以上、期待に応えなければならない」と自分を鼓舞し、受ける決意を固めました。
2. 現実:何もできない自分への「後ろめたさ」
「早くチームの力にならなければ」という意気込みとは裏腹に、現実は全く思い通りにいきませんでした。
リーダーを引き継いでからというもの、私のカレンダーは一気に埋まりました。前任者からの引き継ぎ、不慣れなスクラム運営、社内MTG等々、次から次へと舞い込んでくる「リーダーとしての業務」をさばくだけで、一日の大半が終わってしまうようになったのです。
何より苦しかったのは、スプリントの状況を一番近くで見ているのに、自分自身が「戦力」になれていないことでした。
メンバーがスプリントゴールの達成に向けて必死に頑張っている横で、自分はただ調整事に追われている。本当は、自分も実装作業に加わって少しでも進捗を稼ぎたい。メンバーが頭を悩ませている仕様調査を肩代わりして、彼らの負担を減らしてあげたい。しかしながら、いざ手が空いたときにはもう夜で、複雑なコードを読み解く集中力や調査をするだけの時間も残されていない状況でした。
「自分はこのチームで、一番ドメイン知識が浅い」 「その上、コードも書けず、仕様の相談にも即答できない」 「調整やMTGだけで一日を終える自分に、存在価値はあるのだろうか」
かつての経験があるからこそ、何もできない自分への「後ろめたさ」は日増しに強くなっていきました。自分はチームの推進力を高めるどころか、むしろ「答えを持っていないリーダー」として、チームのボトルネックになっているのではないか。そんな焦りばかりが募っていきました。
3. 転機:自分の中の「理想」を捨てた瞬間
そんな焦りがピークに達した時、決定的な瞬間が訪れました。
前任のリーダーが有給消化に入り、いよいよ自分が名実ともにチームを背負うことになったタイミングです。ふと自分のカレンダーを見つめると、そこには隙間なく埋まったミーティングの予定やSlackでのメンションが並んでいました。
「このまま理想を追い求めて全部自分で抱え込んだら、業務が完全に止まってしまう」
そう確信した瞬間、私の中で何かが吹っ切れました。自分が無能だと思われてもいい、失望されてもいい、嫌われてもいい。それよりも、業務が滞ることの方がリーダーとして不誠実だ、と受け入れたのです。 それからの私は、抱えていたタスクや仕様調査を、Slackを通じて淡々とメンバーへ依頼し始めました。「これをお願いします」「ここが分からないので、助けてください」と。 それは自分にとって、大きな転換点でした。
4. 発見:弱さをさらけ出したからこそ見えた、チームの強さ
「こんなに仕事を振って、大丈夫だろうか」 そんな私の不安をよそに、メンバーたちの反応は驚くほど温かく、そして頼もしいものでした。
Slackで依頼を投げれば、誰も文句を言うことなく「承知しました!」と快く引き受けてくれる。知識が足りない部分を聞けば、嫌な顔ひとつせず丁寧に解説してくれる。メンバーの度量の広さに、私自身が一番救われていました。
前任のリーダーは、経験と知識量で、仕様相談から不具合の一次対応まであらゆる業務を一身に引き受けていました。いわばリーダーがチームの「正解」であり、唯一の「防波堤」でした。入社間もない私はその役割を果たせません。
しかし、私が「できないこと」を隠さず、タスクをメンバーに託すようになってから、チームの空気が少しずつ変わっていったように見えました。 それまではリーダーに集中していた「問い」や「判断」が、メンバー自身が考え、判断せざるを得ない状況になったことで、「自分たちが主体となって、チームを動かしていかなければならない」という当事者意識が、メンバーの中に芽生え始めたように感じられる場面が増えていったのです。
「私が出来ない(=弱い)からこそ生まれた空白」を埋めようとする動きが、結果としてメンバーの当事者意識や自律性を引き出すきっかけになったのかもしれません。それは、自分が理想のリーダー像を目指していたら決して見ることのできなかった景色だと思います。
5. 結び:支えてくれるチームへの感謝
「リーダーは皆のために、強くあるべきだ」 そんな固定観念に縛られていた私に、違った側面を教えてくれたのは、他ならぬチームメンバーたちでした。 知識も経験もまだ不足している私を、嫌な顔一つせず支えてくれる今のチームには、感謝の言葉しかありません。
また、私のような弱い部分を受け入れ、周囲が自然と手を差し伸べる。そんな文化がこの会社にはあるのだと、身をもって実感しました。 「弱さを見せる勇気」を持つことは、決してリーダーとしての敗北ではありませんでした。それはチームを信頼し、チームの力を信じるための第一歩だったのだと、今は感じています。
今後は、等身大の自分で一歩ずつ前に進み、少しでもチームに貢献していけるように精進したいと思います。
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