【社外講師講演】株式会社Preferred Networks 執行役員 福田様に講演いただきました!

はじめに

アソビューの井上です。
弊社では毎週1時間全プロダクトメンバーが集まるテックトークという場を設けており、何らかの技術ネタなどについて共有、LTなどを行って部やチームをまたいで知見やノウハウの共有や意見交換などをしています。

普段は社内のメンバーでの実施なのですが、弊社CIO田中の元同僚というつながりでなんと、株式会社Preferred Networks 執行役員 福田昌昭 様にお話いただけることになりました!
※以下Preferred Networks様はPFN社様とさせてください、

※ちなみに福田さんと田中はソニーでプレイステーションネットワーク(PS3時代)などの開発をされていた時の同僚とのことで、それだけで私のような当時の学生時代の青春をゲームに捧げていたようなものにとっては感謝の気持ち、畏敬の念でいっぱいでございます!本当にありがとうございました!

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福田様のご経歴

ソニーでプレイステーション3やプレイステーションネットワークの開発に携われた後に 当時まだ80人程度(!)だったグリーにご入社されています。
今では考えられないほど小規模の段階なのでエンジニアとして開発プロセスもその場で作りながらやっていくような環境だったとのことです。 そこからソーシャルゲームのブームでどんどん事業も組織も拡大する中まさにその拡大にも貢献されていたそうですが、(退職されるときは3000人になっていたそうです。すごい。。) グリーで統計や機械学習を用いた分析をご経験されていたこともあり、そこからソニー時代の上司の方からのお誘いでPFNにジョインされたそうです。
そしてやはり規模の比較的小さい組織で企画から開発まで全部やるような環境で様々な事業を手がけられているとのことです。
ソニーのPS3、プレイステーションネットワークに始まりソーシャルゲームブーム期のグリー、そして現在のAI技術活用のトレンドの中でのPFNという熱い時代の熱い会社で活躍されてきたとても濃いご経歴だなと思いました!

謎多き企業PFN様の事業

今回の講義ではPFN様の事業の内容をいくつかピックアップして紹介いただきました。
個人的にPFN様は日本を代表するユニコーン企業!として認識しており、創業者を始めとして手練のエンジニア集団である。
というイメージだったのですが、一方具体的にどういった事業をやっている企業なのかはほとんど知りませんでした。
印象的だったのは

  • 自社スパコンを持っている(省電力性能ランキング2020年、2021年世界1位)
  • ディープラーニングに特化したプロセッサを作っている
  • Chainerという深層学習フレームワークの開発をしていた(現在はメンテナンスモードでPyTorchの開発に参加されているようです 参考

というところでこれだけ聞いても私達アソビューのようなWebサービスのベンチャーとはだいぶ趣が違いますね。

また、今回お話を聞いて改めてAIや機械学習を軸にかなりの幅広い業態のクライアントとコラボして様々な活動をされているということを認識出来ました。
お聞きした中でいくつか印象的なポイントをピックアップすると。

イラストをAIが着色してくれるサービスPetalica Paint

petalica-paint.pixiv.dev pixiv社とのコラボということで。こちらに関しては無料で運営されているようです。無料。。

アニメーション映画の制作にニューラルネットワークを活用

projects.preferred.jp これまで膨大な工数が必要であった群衆シーン(モブ)の映像を作成できるとのことです。

東映アニメーションとコラボして背景美術制作工程の効率化

www.preferred.jp PFNが開発するアニメの背景美術制作支援ツールScenify™を活用して背景美術作成を効率化。

小学生向けのプログラミング教材開発

playgram.jp まるでプレイステーションのゲームのようなIFで遊びながら学べる本格プログラミング教材です。

高精細な3Dスキャン

projects.preferred.jp

これまで難しかった透明なものも含め質感も再現した3Dデータに数分レベルの速さでスキャンしてモデリングできるとのことです。

今回の共有いただいた資料では馴染みやすいクリエイティブ分野の話を多くしていただきましたが、他にも工業分野を始め様々な業界向けに事業展開されています。
アニメから工業製品の検査という振れ幅の広さは圧巻です。。 www.preferred.jp

技術ありきのプロジェクト、ニーズとシーズと

PFN社様のプロジェクトの進め方についてのお話を聞いていて弊社には無いパターンだなと思ったのが、テーマによっては研究からはじまる技術題材があって、後からニーズが付いてくるようなケースです。

例えば弊社アソビューのようなビジネスモデルだとゲスト(一般消費者)の「週末何をしよう」や、パートナー(体験事業者、施設)の集客したい、というお困りごと=ニーズに対してマッチングするプラットフォームを提供している構図で、そういったニーズを顧客ファースト志向で掘り下げていってサービスの改善や提供をしていきます。
そのために必要な技術やシステムなどを開拓したり構築したりするという進め方となっています。

一方PFN社様の場合はAI、機械学習を軸としてできることのシーズが有ってそれを社会の課題=ニーズに対してマッチさせていくという方向性が多いと思いました。
例えばアニメーション業界の制作側の人材難、特に背景制作できる人材は需要に対して少ないという課題において先程の支援ツールが適合しないかというところを実際に美術の人にヒヤリングしながらエンジニアとすり合わせていってできることを探っているとのことです。
おそらくここはプロジェクトにもよるとは思いますがアプローチが全く違うのは興味深かったです。

これはAI、機械学習という汎用性がものすごく高い技術領域であるということと、その領域に対して高度な応用技術や知見を持ったエンジニアが多く在籍されているというPFN社様ならではの課題解決のやり方という理解をしましたが、一般のWeb企業の研究開発部門でもこういった進め方は非常に参考になりそうだなと思いました。
アソビューではR&Dに特化した部門はまだ無いですが、例えばレコメンドに機械学習を取り入れる検証を始めようとしておりシーズとニーズをすり合わせて課題解決のための実装をしていくプロセスなどは参考にできそうかも?という印象を受けました。

事業と技術とプロダクトと組織と

一方、課題だとおっしゃっていたのが、以前までは個々のエンジニアが企画開発運用まで全部やるような形で進められていたようで
例えば技術観点でエンジニアの個々の判断で違った言語を使ったり(今はpython中心とのことです)してしまい保守性に乏しくなったりすること、 エンジニアのできること、やりたいことベースにプロジェクトが進んだりして課題に対してコストが高い(いわばオーバーキルのような状態)になるなどがあったそうです。
そういった課題に対して、今はプロダクトマネージャーやビジデブ人材を採用したり組織体制をある程度階層化したりして事業の拡大に合わせてスケールできる組織を作っているとのことでした。

エンジニアの自主性が高いというのは強みでありながらスケールするに従って課題にもなりうるというのは共感できます。
弊社でも現在エンジニア採用強化中で、人数規模を拡大している最中ですが、エンジニアが10人台程度だったころから比べると求められる人材やスキルセットが変わり、プロダクトを作る上で意識しなくてはならない長期的な保守性や可用性をどう開発組織として担保するかなどを考えるフェーズに入ってることを実感しております。

まとめ

今回の話を聞いて、「最先端の技術を最短路で実用化する」ということを掲げられているPFN様の課題解決の範囲の広さや展開しているプロジェクトの一端を知ることができ、私達の課題解決とは違いが垣間見えました。
一方課題解決に対して技術やプロダクトを用いてどう解決していくか、それをスケールさせていく課題などはつながるところがあり、今後アソビューのプロダクトを発展させていく中で参考になりそうな視点もあると思いました。

福田様、ご講演いただきありがとうございました!


We are hiring!

今回は特別会でしたが、アソビューのテックトーク(週次の社内LT会)ではこれからも、今回のような自分たちの事業から少し離れて俯瞰的な視野を持てるような講義なども含めて様々なコンテンツを用意して社内エンジニア同士の交流を増やし、技術力や知見を増やせる場にしていきたいと思っています!

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