AIと一緒にプロダクト開発推進!初心者がChatGPTと一緒にユーザーストーリーマッピングをやってみた

バックエンドエンジニアの川又です。

入社2ヶ月レポートを投稿してからもう半年が経ちました。時間の経過が早すぎてびっくりです。 最近は今月末取得予定の夏休みをどう過ごそうか考えるのが楽しい毎日です。 tech.asoview.co.jp

さて、今回はユーザーストーリーマッピング初心者メンバーがChatGPTを活用しながらストーリーを洗い出してみた事例についてご紹介します。

はじめに

背景

私の夏休みも程々に、7月からアソビュー新規事業が本格的にスタートします! 私自身プロダクト開発責任者として初めての領域でのチャレンジとなるため、ワクワクドキドキです。

4月にキックオフを実施し、本格始動に向けてどんなプロダクトにするか、1stリリースのスコープをどこに設定するかをメンバー同士ですり合わせる必要があります。 いざ事業責任者と会話してみると、プロダクトのイメージが噛み合っていないし自分のドメイン知識の無さに気付き、このままではまずい・・・。

ということで、新規事業立ち上げメンバーでユーザーストーリーマッピングを実施することにしました。

どうしてChatGPTに助けを求めたか

よしやってみよう!と意気込んではみたものの、私自身ユーザーストーリーマッピングをやった経験はありませんし、立ち上げメンバーにも経験者はいません。 メンバー全員が「ユーザーストーリーマッピング?何それ美味しいの?」という状態でストーリーを洗い出しスコープを決めるにはとても時間がかかってしまいます。 新規事業のスケジュールはとてもタイトで、そんな悠長なことは言っていられません。

そんな風に頭を抱えてた時、こちらのChatGPT活用事例を見つけました。

dev.classmethod.jp

これなら初心者の私たちでもできるんじゃないか!助けて!ChatGPT! ということで、ChatGPTと一緒にユーザーストーリーマッピングをすることになりました。

前提

アソビュー新規事業の内容については後のお楽しみ!ということで、今回は「映画館チケット予約サイト」を例にしてユーザーストーリーマッピングの活用事例をご紹介します。 この後ご紹介するユーザーストーリーマッピングの内容は新規事業には一切関係ありませんので、ご了承ください。

またユーザーストーリーマッピングそのものについては今回は割愛させていただきます。 有名な書籍や記事がありますので、そちら参考にしてください。

www.oreilly.co.jp

ChatGPTと一緒にユーザーストーリーマッピングしてみた

ユーザーストーリーマッピングの進め方やアウトプットは、弊社井上が大規模プロジェクトで実施した事例を参考にしました。

tech.asoview.co.jp

メンバー全員でユーザーストーリーマッピングを始める前に、上記の流れでChatGPTにインプットし、行動やストーリーをアウトプットしてもらいました。 アウトプットをベースにメンバーでストーリーを見直し、最終的なユーザーストーリーマップを作成していきます。

ChatGPTモデルはGPT-4を使用しています。

ユーザーストーリーマッピングとは何かを説明してもらう

まずChatGPTには新規事業のプロダクトマネージャーになりきってもらい、ユーザーストーリーマッピングの極意について我々初心者に伝授していただきましょう。

なるほどなるほど。あらかじめ前述のオライリー本を読んで予習していましたが、ChatGPTがより端的にユーザーストーリーマッピングの目的を教えてくれました。

ペルソナを考えてもらう

今度はペルソナを考えていきましょう。 あらかじめリストアップしておいた3つの役割をインプットに、詳細なプロフィールをChatGPTに類推してもらいます。

名前はありきたりですが、自分達が考えるより圧倒的に早く類推してくれました。 ペルソナのプロフィールは簡単なものしか指定していませんが、ペルソナの背景や課題を全員の共通認識として持った上でストーリーを洗い出したい場合には、類推してもらうプロフィールをもっと指定してみると良いかもしれません。

あ、でもせっかくなら顔のイメージがあった方がイメージしやすいですね。 そんな時はMicrosoft BingのImageCreatorにペルソナのイメージ写真を作り出してもらいましょう。

渋谷区に住んでいそうな山田太郎くんを何人か作り出していただきました。 気に入った画像と一緒にプロフィールをボードに貼っておきましょう。

行動を洗い出してもらう

次に、チケット購入者山田太郎さんの行動を洗い出してもらいます。 インプットは大規模プロジェクトを参考に、「[ペルソナ]が〇〇を〇〇する」という例をChatGPTに提示してみました。

さすがChatGPTプロダクトマネージャー。もちろんですと乗り気で行動を洗い出してくれました。 何も伝えなくても、時系列順に行動を出してくれています。

ストーリーを洗い出してもらう

最後にストーリーの洗い出しです。行動毎に、機能単位レベルまで「〇〇を〇〇できる」という形でストーリーを洗い出してもらいます。

いい感じに洗い出してもらいました。最後に洗い出してもらった行動とストーリーをボードに貼り付けます。 使用するホワイトボードツールによってはcsvファイルをImportして付箋に書き出すことができますので、必要に応じてChatGPTにcsv形式で表現し直してもらいましょう。

赤く大きい付箋を行動、その下にぶら下がるストーリーをオレンジの付箋で貼り付けていきました。

さて、準備はできました。 というか、なんかもうできてる・・・!

Let's ユーザーストーリーマッピング

さて、ChatGPTが作り出してくれたボードを囲んで、立ち上げメンバーでユーザーストーリーマッピングを実施してみます。 メンバー構成は以下の通り計4名で実施しました。

  • ファシリテーター:私
  • メンバー:2名(事業責任者+事業企画メンバー)
  • オブザーバー:1名(別プロジェクトでのユーザーストーリーマッピング経験者)

ChatGPTがいるとはいえ流石にユーザーストーリーマッピング初心者だけで行うのは心許ないので、経験者を1名オブザーバーとして招いて見守っていただきました。

事前インプット

いざ始める前に、ユーザーストーリーマッピングとは何か、目的は何かをメンバーにインプットしました。 そこはChatGPTの受け売りです。目的の中でも特に「コラボレーションの促進(全員の共通認識を持つこと)」を重要視して行うことをメンバーに刷り込みました。

またドメイン知識がないメンバーにとっていきなりストーリーを出すことは難しい作業となります。 そこで他社の映画館チケット予約サイト導線をキャプチャに納め共有することで、イメージするストーリーの解像度を高めてもらいました。 更に、より専門性の高いドメイン知識が必要となるペルソナに関しては、事前に関連する本を読んでもらいユーザーストーリーマッピングに臨んでもらいました。

ベースはChatGPTが洗い出してくれていますが、ストーリーの修正やスコープ決めは自分達で行うので、 ユーザーストーリーマッピング当日に場が発散しないよう事前インプットを入念に行いました。

行動の見直し

ChatGPTが洗い出してくれた行動を全員で確認し、細かい用語の修正や不要な行動を削ぎ落としていきます。 ペルソナによっては、かけ離れた行動ばかりが並んでいることもあるため、いらないものはどんどん削ぎ落とし、足りない行動を全員で出し合いました。

行動の見直しが完了できたら、時系列順に並び替えていきます。 ベースの時系列がしっかりとしていたため、付け足した行動をどこに入れるか程度の会話で済みました。

ストーリーの見直し

行動の見直しと同様、個人ワークでベースのストーリーを元に不足しているストーリーの洗い出し、不要なストーリーの削ぎ落としを行います。 ベースのストーリーだけではまだまだ不足していたので、時間を掛けて見直してもらいました。

洗い出せたらストーリーをメンバー間で共有し、お互いにどういう機能をイメージしているのか話し合います。イメージしているものが同じであればストーリー同士をグルーピング化します。

最後にストーリーを並び替え1stリリーススコープを決めていきます。事業責任者が並び替えたストーリーをベースに、どこまでをスコープにするかを話し合います。 「なくては成り立たないもの」と「もっと良くなるもの」の2つに分類し、なくては成り立たないものを1stリリーススコープとして決定しました。

完成!

ChatGPTを活用してよかったこと・感じたこと

時間が短縮できた

ChatGPTが洗い出してくれたベースの行動とストーリーがあるため、洗い出すまでの時間が大幅に短縮できました。最短で1人のペルソナに対し2時間でユーザーストーリーマッピングを終わらせることができました。 参加者が少なく会話しやすかった影響もありますが、時間短縮にはもってこいだと思いました。

事前インプットの重要さ

大規模プロジェクトの事例で改善点として上がっている通り、ユーザーストーリーマッピングについての説明は非常に重要だと感じました。今回はChatGPTに説明していただきましたが、ファシリテーターとしても何が重要なのか、何がゴールなのかを明確にメンバーに伝えることが必要だと思います。

またあらかじめChatGPTが洗い出してくれた行動・ストーリーがお手本となるため、メンバー個々がイメージするストーリーの解像度が上がったと思います。ChatGPTのベースも事前インプットとなり、普通にユーザーストーリーマッピングを実施するよりもかなりスムーズにメンバーがストーリーを洗い出せたのではないかと思います。

行動・ストーリーの粒度が揃いやすい

行動やストーリーの粒度が自然とChatGPTのベースに合わせてメンバーが洗い出してくれるため、俯瞰してみた時に綺麗に粒度が揃っていると感じました。 粒度が揃っているとストーリーの共通認識が合わせやすかったりグルーピングがしやすくなるため、ファシリテーターとしても非常に助かりました。

今後の展望

ChatGPTへの指示改善

今回は開発するプロダクトが映画館チケット予約サイトであることと、ペルソナの役割と洗い出してもらう行動とストーリーの例をインプットにChatGPTにユーザーストーリーマップのベースを作ってもらいました。ChatGPTが洗い出す行動はある程度粒度が細かく大幅にずれることなく洗い出してもらいましたが、ストーリーの洗い出しはまだまだ精度が低く、人手での修正が必要だと感じました。もう少し開発するプロダクトの背景をインプットすることで、ストーリーの精度が高められるのではないかと思います。

また今回はあくまでもChatGPTにベースを作ってもらう形としたため、どれだけたくさん洗い出してもらうかまでは追求しませんでしたが、ChatGPTへの指示の出し方を工夫することで更に多くのストーリーを洗い出してもらうことが可能です。

例えば、行動を指定してストーリーを洗い出してもらうと、かなり粒度が細かくなりました。

ChatGPTへの指示を色々工夫することで、求めるユーザーストーリーをよりたくさんアウトプットしてもらえると思います。

設計でのChatGPT活用

今回作成したユーザーストーリーマップをインプットに、ChatGPTに設計をお任せすることも可能だと思います。

例えば洗い出してもらった行動とストーリーを元に、ChatGPTにテーブル設計をしてもらいました。

ChatGPTの言う通り最終的には要件に応じて設計を見直す必要がありますが、叩き台を作るにはもうこれでいいんじゃないかと思いました。

まとめ

今回はChatGPTを駆使しながら初心者がユーザーストーリーマッピングに取り組んだ事例について紹介させていただきました。

ユーザーストーリーマッピングは普通に行うと多くの時間と労力がかかるものですが、ChatGPTを活用してより短く効率的に行うことができます。

ただ、ユーザーストーリーマッピングは単に抜け漏れなくストーリーを洗い出すだけではなく、プロダクトに対するドメイン知識を蓄えメンバー間の共通認識を持つための場でもあります。そのためChatGPTに全てを任せるのではなく、出してもらったストーリーをベースにメンバー間で入念に会話し、全員のプロダクトイメージを揃えることが重要です。

実際、今回の取り組みで立ち上げメンバーのドメイン知識やプロダクトイメージの解像度がかなり高くなったと実感しています。今回の事例を通して、ChatGPTと一緒にやってみれば初心者でもすぐにユーザーストーリーマッピングができるという印象を持っていただけると幸いです。

アソビューでは「For You」というValueを掲げ、ユーザー目線でのプロダクト開発を行なっています!一緒に働くメンバーを大募集していますので、少しでも興味があればお気軽にご応募ください!お待ちしております!

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