キャリアデザインを促進する、手段としての技術広報

アソビュー株式会社VPoEの @tkyshat です。

はじめに

キャリア不確実性が高まっており、多くの人がキャリアの悩みを抱えています。日々の生活の中でも、自分の考えを行動に移す一歩が踏み出せないことがあります。前回は、このような悩みを解放する方法として「ネガティブ・ケイパビリティ」と「計画的偶発性理論」を取り上げました。 tech.asoview.co.jp

今回は続編として、技術広報を活用することで、コントロール不能なキャリア状況にどう対峙するかを探ります。 キャリアデザインに関してはキャリアというゲームの構造原理について|山口周に記してある

時間資本を用いて人的資本を生み出し、人的資本によって社会資本を生み出し、社会資本によって金融資本を生み出すという、超長期にわたる投資の連鎖

という原理に基づいて書いていきます。

人的資本・社会資本・金融資本を形成していくことをキャリアデザインとすると、時間資本をどのように投資するかが重要になるためここを重点的に深堀っていきます。

人的資本の蓄積

キャリアにおける人的資本は、スキルピラミッドにて表現される「スタンス」・「ポータブルスキル」・「テクニカルスキル」の獲得です。 このピラミッドでは各階層を下記のように定義しています。

  • 最下層のスタンス : 個人の価値観や仕事に向き合う姿勢
  • 中層のポータブルスキル : どの職種でも役に立つ汎用スキル
  • 上層のテクニカルスキル : 職種に直接関連する専門技術や知識

スキルピラミッド
人的資本を蓄積するには、いかに「限られた時間を生産性高く自身の能力向上に投資できるか」が重要になってきます。
生産性高く時間を投資できるようになるには、アウトプット量を最大化しなければなりません。
アウトプット量を担保するには大量のインプットとアウトプットするための場数(機会)を踏んでPDCAを早く回していくことが必要です。

人的資本 = 時間資本 × 生産性
生産性 = 時間資本 × アウトプット量
アウトプット量 = インプット × 場数

まとめると  人的資本 = 時間資本^{2} \times インプット \times 場数 となるため、人的資本の蓄積には時間資本をインプットと場数に投資するのが重要です。

日々の仕事でも アウトプット量 = インプット \times 場数 を経験しています。 例えばバックログに積まれたタスクを着手し、課題を解決するために自分にとって不確実性の高い部分がある場合、適宜インプットを実施します。 インプットしたものを解釈し、解決策としてソースコードに変換しアウトプットしています。

このように日々の仕事はアウトプットの連続で、この積み重ねが人的資本の蓄積に繋がります。

社会資本の蓄積

社会資本は人的資本を用いた成果を積み上げていくことで得られる、周囲の評判・信用と定義できます。 会社に所属している人にとって社内における社会資本は、「ステークホルダーのお困り事を解決した総量」によって蓄積できます。
そのため仕事として与えられる場数とインプットをこなしアウトプット量を最大化していれば自ずと蓄積されます。 「圧倒的に成長したい・成果を上げたい」と考えて行動している人は、割り振られたタスクや作業だけでなく

  • 落ちているボールを拾う
  • まだ見えていない課題を自ら定義し取り組む

など越境します。そうすることで自ら時間資本を投資して積極的に場数や機会を創出します。新しいことに挑戦したり責任感を持って最後まで取り組むことで人的資本を積み上げ、社内における社会資本の蓄積速度を上げることが出来ます。 この結果、新しいプロジェクトや役割を任せられそこでも成果を上げていくことで、社会資本をさらに増大させます。このように「圧倒的に成長したい・成果を上げたい」と考えて行動している人は、人的資本と社会資本増大のポジティブフィードバックループをうまく作ります。

社内で蓄積した社会資本は経験・実績として語れるようになり、社外でも通用する社会資本に変貌していきます。 会社を例にここまで説明しましたが、社会資本は「自身の人的資本で貢献可能先に対して成果を積み上げる事」で蓄積できます。

エンジニアにとっての貢献可能先とは

エンジニアにとって自身が参画している会社・組織・プロジェクトはもちろんですが、貢献可能先としてエンジニアコミュニティが存在します。 エンジニアコミュニティでは下記のような活動が日々行われています。

  • ブログや技術記事の執筆
  • テックカンファレンスやミートアップへの参加、講演
  • ウェビナーやオンラインセミナーの開催
  • 技術書の執策や出版
  • OSS活動

エンジニアリングをしていく上で、このような活動の恩恵を受けたことがある人は多いのではないでしょうか。 エンジニアコミュニティで行われている技術広報活動を自分たちも同じように活動することで、人的資本はもちろんのこと社会資本の蓄積が加速します。

キャリアにおける技術広報の重要性

技術広報とは自身の人的資本をエンジニアコミュニティに対して還元し、人的資本と社会資本の蓄積を行う活動です。そのため技術広報はキャリアデザインの大事な手段の1つになります。
ブログの執筆やOSS活動等をSNSで発信していれば、履歴書や職務経歴書を書かなくてもSNS(あなた)が社会資本を蓄積しているため、立派なポートフォリオになりえます。技術広報は会社の広報や採用活動のため、と思われがちですが個人のキャリアデザインが主目的です。

まずやってみる

日々仕事を進めるうえでインプットをしていない、という人はいない思います。まずは、何か学んだことや工夫したことを発信してみましょう。
自己満足と思える内容だったとしても、それこそ工夫したりこだわったポイントではないでしょうか。
先駆者がいてもいいし、似通った内容を発信しても良いと思います。複数人が同じテーマで発信するということは、それだけ重要で同じところで躓いたり悩んだりする人がいるということだと思います。同じ仲間がたくさんいるとちょっぴり安心しますよね。
少しずつ発信を増やしていって、自分なりにキャリアをデザインしていきましょう。

最後に...

技術広報は会社の広報や採用活動のため、と思われがちですが個人のキャリアデザインが主目的です。

と書きましたが、技術広報を続けることで個人・組織・エンジニアリングコミュニティにポジティブフィードバックループが生まれます。 そのため、完全に会社の広報や採用活動のためではない。といわけではなく、個人のアクションが様々な影響を与える可能性があるということを下記図に示しておきます。

個人 - 組織 -コミュニティ
エンジニアコミュニティから多大な知識や能力の獲得を享受してきたからこそ貢献し、アソビュー開発組織として CSR as tech company の役割を果たしていきたいと考えています。

成長中の組織ですので整っていないところも沢山ありますが、メンバーとして・組織として一緒に成長していきたい方を大募集しています!
カジュアル面談もありますので、少しでも興味があればお気軽にご応募いただければと思います。

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